不器用な愛を刻む
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*






「---嬢さん、夜道を1人で歩くなんざ
物騒な真似…しちゃマズイだろ。」






夜桜が舞う綺麗な満月の夜に

1人家を飛び出し
この橋の上までやってきた私に




そう声を掛けてきたのが

彼との出会いだった。







普段町中を歩いている男性の様な
真っ黒の髪とは大違いの


目立つ短い金髪に






そして西洋文化が徐々に入りつつある
このご時世には珍しい


綺麗な金色の刺繍の入った
目立つ和柄の羽織りを肩からかけて






上等な煙菅(キセル)を片手に持つ

妖しい男-----。








「死ぬつもりならやめておけ。
その命-----代わりに俺が貰ってやる。」








刺すような視線をこちらに向けて

彼は静かに
私にそう告げた。






…今思えば





きっとこの出会いから



運命だったんじゃないかと思う---。








*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
< 3 / 180 >

この作品をシェア

pagetop