不器用な愛を刻む
明らかに怒りを含むその声色に
椿はビクッと体を震わせ
彼を見上げる。
…そこには
先ほどと同じように
怯えるほどの強い視線と、熱い何かを感じる瞳。
そしていつものような
妖しい笑みを浮かべる善は…
そこには いなかった。
「…わ、私が…何か致しましたか…?」
「……何かした…?
……あぁ、そうだな。」
善は椿の言葉に
フッと冷たい笑みをこぼしながらも
椿を責めるように
低い声でそう答えながら
グッ-----と、顔を近づける。
(っ--------!!)
その強い瞳が近付き、
少し怯えると同時に 鼓動が早くなる椿。
少々動揺しながら
っ、と息を飲む。
すると
椿の腕をつかむ手と
腰に回る腕に
さらに力が込められた。
「…お前ェ、喜一から髪留めもらったらしいなァ。」
「-------!!」
善の言葉に
椿はハッと目を見開く。
善はその様子から
喜一の言葉は事実だったと確信して
さらに機嫌を損ねた。
眉間にシワを寄せながら
少しだけ目を伏せるように細め、
椿を見下ろす。