不器用な愛を刻む
「…は、はい……頂きました…けど…。」
「…そりゃあ今どこにある?」
善の熱い視線に
椿は捕らわれたように
視線を逸らすことができず、
それと同時に---
彼のその鋭い視線に
洗脳されるように、正直に言葉が出てくる。
「部屋の棚に…仕舞ってあります…。」
「……へぇ。使わずに綺麗に保管するほど…大事にしてるってわけか?」
なるほどなァ?
と
善は何を言いたいのか、
意味深に笑みを深め
体がゾクゾクするような艶めいた低い声を
椿へと向ける。
そしてふと
腰に回していた腕を体に伝わせて
そのまま……椿の顎を
クイッと上げるように添えられる。
「…喜一に一目惚れでもしたか?ん?」
「っ-----?!」
椿はその言葉に目を見開き
言葉を喉に詰まらせた。
-----違う。
自分が好いているのは、彼じゃない。
そう強く思って
すぐに口を開く。
「っ、違います!
私は喜一さんのことをそんな…!」
「どうだかなァ。
…本当は少しでも良いと思ってるんじゃねぇのか?」
そう善に尋ねられて、
椿は心外なことに
ズキッと心を刺されたように傷ついた。
---どうして信じてくれないんだろう?
そう思うと切なくなって
思わず目が潤み始める。
(……私が好きなのは…善様なのに…。)
そう思うも
それは告げることができず、
椿な涙目ながら
善に視線を真っ直ぐ返す。
しかしそんな思いが
今の善に視線で伝わるわけもなく---
「…気にいらねェな。」
そう言って
さらに善は機嫌を損ねた。