不器用な愛を刻む
「ハッ……今更だな、俺も…。」
俺も……孤独から抜け出してェのか?
椿を側に置いておくことで
心を縛っているつもりなのか---
自分の言動が解せないと思いながらも
それを止めようとも思わない
この自分への甘さは
仕方ないものなのか---。
(…厄介な男に捕まっちまったな、椿…。)
もしかすれば
お前も他の町人と同じように
喜一と共に…平和に溺れることだって出来たのになァ…。
(…どうやら俺は、それを望んでいないらしい…。)
俺の本心は
お前を縛り付けておくこと---。
それは故に
永遠に危険に伴わせるようなものだ。
(……でも、そうだってんなら…)
善はそこで
自分の意思と覚悟を決め
夜空を見上げながら
ニッ…と いつもの妖しい笑みを浮かべる。
「その代わりに……俺が生きてる間は、
お前ェに傷は少したりとも付けさせねェ。」
-----------俺が
「俺が側で お前ェを守ってやんよ---。」
だから許せ-----椿。
善はそう小さく呟くと
胸元に仕舞っていた煙管を取り出し
火をつけて それを優美に吸うのだった。