不器用な愛を刻む
一方 その頃 役所では──
「……もう1度、ご説明ください…。」
「何度聞いても同じだ。
……きっと、奴らは来る。」
「っ、そんな──!!」
バンッ!!
と、
喜一がテーブルを叩く音が部屋に響き渡る。
珍しく激しく動揺している喜一を、
青戸はただ黙って見ていた。
2人の表情は険しく
険悪な雰囲気が流れていた。
喜一は悔しそうに唇を噛みながら
少し下に視線を向けて
息を飲む。
───早く知らせなくては。
喜一はそう考えながら
手に持っていた紙を
力一杯 グシャッ---と握る。
「っ…失礼します!!」
「--------。」
---バタンッ!!
と
大きな音を立てて出て行った喜一。
そんな彼の背中を追うように
青戸は静かき扉の方向へ視線を向けていた。
(……こちらも
準備しておく必要があるな…。)
青戸は
これから起こるであろう事態に備え
静かに動き出した---。