不器用な愛を刻む
「…これは俺の覚悟の証だ。
自分で勝手に入れたんだ、お前は何も気にするこたァねぇよ。」
「っ、でも……!」
「---椿。」
-----ビクッ!
放たれた低い声に
思わず言葉が詰まる椿。
その先には
有無を言わさぬ圧を含めた
善の視線と言葉が
こちらに向けられていた。
「俺はこの彫り気に入ってんだぜ?
…お前が側にいる感じがするからな。」
そう言って目を細めながら
妖しく口角を上げ、椿を見る善。
その善の言葉に
反論や批判を言えず口を閉じる椿だが
心ではやはりどこか
負い目を感じているところがあった。
-----なんせ、好きな人の体に
こんな傷をつける原因を作ったのは
自分にあるのだから。