不器用な愛を刻む
そう書かれた文を受け取り
目を見開く善。
──誰が? こんな文を?
そう思った瞬間に
目に入った 文の端にある印に
善の殺意が 更にブワ!と増した。
「……ククッ…そうかァ…
あの時の刺客の死に損ないだなァ…?」
「───!!」
その善の笑みを浮かべる姿に
狂気を感じた喜一は
息を飲みながら
彼を静かに眺める---。
(…確かにこれは、善が言っている
刺客の仕業なのは間違いない。)
しかし、場所も何も分からないまま
どう探すかが問題か──。
喜一は焦る気持ちをどうにか抑えて
なるべく冷静に
思考を働かせる。
そんな喜一の横を通り過ぎるように
善は歩き出し、階段を降りようとしていた。
「っ…善、どこに…。」
「---場所の目星は大方ついてる。
…これからそこへ出向く。」
「っ、1人でか…?!」
相手は何人いるか分からないというのに---。
喜一は善にそう呼びかけると
振り返った善は
──まるで『あの頃』の彼のように
残忍な笑みを浮かべて
静かに、喜一に言葉を放つ。
「ククッ…何人いようが関係ねェさ。
どんなに大勢で掛かって来ようが
ただ-----全員、殺すだけだ。」
椿に手ェ出した罪は
重ェからなァ…。
そう言って階段を降りて行った彼を見て
喜一はただ1人
その狂気に目を見張っていた。