不器用な愛を刻む
『血生臭い屍共』
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(……ん…。)
いつの間にか失っていた意識が浮上すると
椿は静かに辺りを見回した。
──どこなの、ここ。
最後の記憶は
確か店の前に出た所で…。
善だと思って振り返ったところから
椿は意識がなかった。
「…っ……!」
意識がはっきりするにつれて
体の下腹部に痛みを感じて
思わず手を添えて
その場にうずくまる。
…殴られたのだろうか?
(っ……誰か…いないの…?)
周りから人の気配を感じない。
目がようやく慣れてきて
見回してみれば
どうやら自分がいるのは
薄暗い小さな部屋であることを
椿は確認した。
近くには古いベッドと
鉄格子のような棒。
その一部は扉になっているが
鍵がないと開かない。
───まるで牢獄のようだ。
(でも、どうして…こんなところに…?)
あの後、自分はどうなったのだろう。
思い出そうと
必死に頭を働かせようとする。
するとそんな時に
ガチャッ──と
静かに扉が、開いた。