不器用な愛を刻む
「お前ェの命預かるってのも
俺が勝手に言ったことだ。
…それをまた勝手に、自分に誓ったまでよ。」
-----お前の命は俺が貰う。
それを自分に誓った証として
刺青を入れたと言う善に
椿は静かに「…はい…。」と
返事をして受け入れる他に
選択肢は与えられなかった。
(……ごめんなさい…ありがとう…。)
善に向かって
言葉に出しはしないものの
心の中で
何度もそう繰り返す椿。
---あの夜彼が私に会わなければ。
そんなことを考えるものの
過去のことをとやかく言っても
今はもうどうしようもないこと。
しかし椿は
あの出会いの夜を
思い出さずにはいられなかった---。