不器用な愛を刻む
「っ、善様、血が───?!」
「──!!」
椿の様子に喜一も気付いて
足もとを見た。
そして善から血が落ちていることを知って
喜一も息を飲んだ。
「っ…善、撃たれたのか…?!」
「……ククッ、どうってことねぇよ。」
「っ、そんなわけありません!!」
善の言葉に
そう大声を上げる椿だったが
善はいつものように
平気そうな顔をして過ごす。
──撃たれて、大丈夫なわけがないのに。
「っ、外に救護班を待機させてある。
早くそこに───!」
そう喜一が声を上げるのと同時に
3人とは別の場所から
こちらに向け、言葉が発せられる。
「───っ、こんな終わり方でたまるかよ…!!」
(-----------っ?!)
声のする方を向けば
そこには…主犯であった、あの男。
自分も瀕死の傷を負っているはずなのに
最後の力を振り絞って立ち上がり、
3人に向けて銃を向けている。
「……まだ生きてやがったか。」
「っ……お前だけは、殺す…!!」
そう言う男は
もう体が言うことを聞かないのか
銃を持つ手がガクガクとしていて
うまく狙いが定まっていない。
善は椿と喜一の前に立ち
その男へ立ち向かうように
進んで行こうとした。
(───!!)
そんな善へ
椿が咄嗟に手を伸ばす。