不器用な愛を刻む
「っ、善様…!!」
───そんな体で行ってはいけない!
椿はそう思い
彼の着物を掴んだ。
それと同時に
喜一も善へと言葉を向けた。
「っ、俺が行く!
君らは早く裏口から──!!」
そう言って喜一が善の前へ出ようとした時
目の前の男が
声を荒げて叫んだ。
「っ、ごちゃごちゃ…うるせェ──!!」
(─────!!)
善を狙っていた銃口は
その震える腕のせいで
少し方向が変わっていた。
そしてその先には
椿がいて───。
「っ、伏せろ椿───!!」
咄嗟に後ろへ叫んだ善。
喜一もその声に
自分の銃を敵に向けたが
それと同時で
パンッ───!!!
1発の大きな銃声が
部屋に響き渡った。