天使の梯子
未来へ

「いってぇ。あいつ、手加減なしで殴りやがって」


暎仁に殴られたところをさすりながら俺は車に乗り込む。鏡で顔を見て、俺はため息をついた。


「腫れるな、これ」


俺、浅井直哉と、あいつ……諏佐暎仁は大学の同級生だ。


暎仁は、男の俺から見てもかなりのいい男で、暎仁には全然及ばないにしろ、そこそこ顔の整った俺と暎仁は、一緒にいるととても目立った。


暎仁はとにかく完璧な奴だった。勉強はもちろん、運動神経もよかった。


なんでもできるせいかなにに対しても執着することがなくて、それは女に関してもそうだった。


暎仁はとにかくモテる男で、大学四年までは特定の彼女は作らずに適当に遊んでいた。


それも楓ちゃんと、出会うまでの話だ。


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