天使の梯子

かわいいけど、目を惹くほどとびっきりかわいいというわけでもない。なのにその子は、なぜだか人の目を惹きつける不思議な魅力があった。


実際にその合コンに行ったやつで、何人かは楓ちゃんに目をつけていたみたいだ。場慣れしてない初々しい仕草が、清潔感のある色気を感じさせて、なんとなく男心がそそられる。


「直哉、俺あの子気に入ったんだけど」


だけど、暎仁がそう言い出したときは本当に驚いた。


だって楓ちゃんは、暎仁が遊んでいる派手な女たちとは真逆だったから。


「え、お前。あんな純情そうな子を毒牙にかけんのやめろよ」


そう会話している間も、ずっと暎仁は楓ちゃんを見ていて、一切俺のことを見なかった。その瞳に、見たことのない色の感情が揺れていた。


「なんだよ、毒牙って。じゃあ、本気ならいいんだろ? 俺、隣行くから。他の男と話してんのムカつくわ」


立ち上がって楓ちゃんの隣に座って、自分から携帯の番号を聞いてる暎仁を俺は信じられない気持ちで見ていた。


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