天使の梯子
暎仁がなにかに対してああいう反応を見せるのは初めてだった。
暎仁には勝てないと思ったんだろう、楓ちゃんを狙ってたやつらはすぐにあきらめたみたいだ。
その後、楓ちゃんの好みが自分とは真逆だと知ると髪型まで変えてきて、本当に驚いた。
「お前がそこまでするって、真面目に本気なの? あの子のこと」
茶髪から黒髪になって、ずいぶんと印象が変わった暎仁はためないもなくうなずいた。
「本気。もう遊ぶのやめる」
そうきっぱり宣言した暎仁が意外すぎて、それを理解できなくて、俺はマジマジと暎仁を見た。
「なんでそこまで? お前が今まで遊んできた子に、もっと綺麗でかわいい子いっぱいいるじゃん」
「そんなの、わかんねぇけど、この子を他の男に渡したくないって思ったし。俺から見ると、今まで寝てきたどんな女よりあの子がかわいいと思う」
それから暎仁は、あいつにしては長い時間をかけて楓ちゃんを口説いて、そうして付き合うようになった。