天使の梯子
最近会ったのだろう、暎仁が残した赤い痕が所々に残っていて、あいつの楓ちゃんへの執着の強さがうかがえる。
今、俺が前にしてるこの身体に夢中になっている暎仁のことを考えるとなんだか笑えた。
「楓ちゃん」
そう呼んで身体に触れようとしたところで、楓ちゃんの目から涙がこぼれてぎょっとする。
起きたのかと思ったけれど、そうではなかった。
「暎仁くん、来てくれたの?」
意識が朦朧としているのだろう、目の前にいる俺を暎仁だと思っているらしい。
焦点の合わない目で俺を見上げた楓ちゃんは、涙をこぼしながら暎仁だと思っている俺にすがりつく。
「暎仁くん、ごめんね。いつも疲れてるのに、一緒にいたくて。ゆっくりしてって言ってあげられなくてごめんね」
ぽろぽろと大粒の涙をこぼす楓ちゃんに、目が釘づけになる。