天使の梯子
「だって、楓がいないから。起きるときは俺も起こしてって言ってるのに」
四年前、眠ってる間に楓にいなくなられた俺は、それがトラウマになっいて、起きたときに楓が隣にいないとどうしようもなく不安になってしまう。
片時も楓と離れたくないと俺がわがままを言ったから、再会してから楓はほぼ俺の家で暮らしている。
本当は仕事に送り出すのも、そのまま楓がそのままいなくなっちゃうんじゃないかって不安だ。でも、さすがにずっと閉じ込めておくことは出来ないから仕方なく見送っている。
「だって。今日、当直なんでしょ?少しでも寝ててほしいから」
楓との運命的な再会から一週間が経って、今日は直哉の病院で当直の日だ。
楓に促されて服を着てから、俺はベタッと楓にくっつく。
「暎仁くん、これじゃなにもできないんだけど」
「なにもしなくていいし。もうちょっとくっついてたい」
三十二歳にもなって、医師としても年齢にしては高すぎる地位についても楓の前じゃこの様だ。