天使の梯子

おまけにあいつが魔が差したんだかなんだか知らないが、そんなことをしたおかげで楓はあんなに辛いことをひとりで乗り越えて、俺と四年も離れていなきゃいけなかった。


俺も悪い部分はあったと思う。でも、あいつのしたことでいろいろとんでもなくこじれただろう。


あいつに楓の流産のことを伝えるつもりはない。それでも、そんなに簡単に許せるわけがない。


どんどん険しくなる俺の顔を、楓がかわいらしい顔で覗きこんでくる。


「やっぱりチューしてほしい」


それは、反則だ。そんなかわいいこと言われたら、しないなんて選択肢もちろん俺にはない。


楓の柔らかい唇にキスして、一回じゃ足りなくて何回もキスをする俺に楓がギブアップする。


「と、とにかく。暴力はダメです」


そう何回も念を押されて、手のひらに『この手は人を助ける手です』と油性マジックで書かれて俺は苦笑いする。


本当に楓には敵わない。あの頃よりずっと魅力的になった楓に、俺は四年前よりさらに夢中だ。


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