天使の梯子
「本当に、ごめん。謝って許されることじゃないと思ってるけど。もう親友なんていえる立場じゃないし、当直のことも断ってくれて全然いいから。許してくれ、なんて。言える立場じゃないし」
許してるか、許してないかで言ったら……今は許してない。
あんなことをされて一週間やそこらで許せるほど、俺は人間できてないんだ。
「許してはねぇけど、親友はやめない」
俺がそう言うと、直哉が驚いた顔で顔を上げて俺に視線を向ける。しかし、ひどい顔だ。
「その顔で外来に出て、せいぜい根掘り葉掘り勘繰られるといいわ」
意地悪く笑ってやると、直哉はため息をつく。
「……そうなんだよ。すでに看護師さん達には変に勘ぐられて。まだまだ治んないよな、これ」
怒っていると言いつつ、いつものように話していると医局のドアがノックされた。