天使の梯子
「あんたみたいな最低男、私しかもらってあげる人いないわよって。かっこいいでしょ?」
美優ちゃん、かわいい顔して男前だとは思ってたけど本当にかっこいいな。
「一応聞くけど、元サヤに戻ったんだよな?」
直哉にそう聞かれて俺は楓を抱き寄せて、その左手を見せた。
楓は休みの日は俺が贈った婚約指輪をつけてくれている。まだ緩いけど、本当に少し太らせないとな。
楓の薬指にあるダイヤモンドが光る指輪を見て、直哉がホッとしたように笑う。
「入籍する日が決まったら教えてくれよな。先に入籍できないからさ」
眉を下げて笑う直哉を本当に律儀な奴だと思う。
何でこんな奴が、あんなことしたのか……本当に魔が差したってやつなのか、よく分からない。