天使の梯子
「ねえ、楓。やっぱり明日にでもご両親に挨拶に行きたいんだけど。都合悪い?」
「う、うーん……聞いてみる」
頬を染めてそう言う楓に年甲斐もなくときめいて、帰したくなくて直哉を見る。
「楓同伴で当直しちゃダメ?」
そう言った俺を、直哉と楓が同時に振り返った。
「ダ、ダメに決まってるよね」
「そうだよ、お前、ふざけんな。そんなの許すわけないだろ」
ま、そんなの俺もわかってるけど。真面目な楓がそんなこと許してくれるわけないし。
「冗談だよ」
「いや、目がマジだったから」
直哉にそうつっこまれるけど、しょうがない。
一分一秒も離れたくないほど、俺が楓のことを好きなことをあいつはよく知っている。