天使の梯子
知っているくせに、あいつのせいで四年も離れなきゃいけなかったと思うとまたイライラしてくる。
「あ、俺、用事思い出した。じゃあね、楓ちゃん。がんばって帰ってね」
そんな俺に気づいたのか、直哉はさっさと医局を出て行く。
あいつ、逃げたな。まあ、いいか。楓とふたりっきりになれたから。
医局には俺と楓のふたりだけ。まあ、そうなったら大人しくなんてしていられないというもので。
「楓」
名前を呼んで、上を向いた楓のその唇を塞ぐ。
「んっ!?」
無防備な唇に舌を入れて、柔らかくて甘い舌を捕らえる。
「ふっ、……んっ、やっ」
かわいらしい甘い声を漏らす楓が俺の胸を押すから、仕方なく唇を離してやる。