天使の梯子
「楓、ご両親の都合分かったら連絡ちょうだい」
「うん、分かった。じゃあ、私そろそろ帰るね」
そう言って離れていこうとする楓の腕を掴んで、引き止める。
「もう一回だけキスして」
抱き寄せて唇を重ねようとしたところで、俺の持っている院内PHSが鳴る。
「もしもし」
仕方なく出ると、交通事故の救急搬送を受けてくれるかというものだった。
「ああ、いいよ。受けて」
PHSを切ると、首を傾げた楓が俺を見上げている。ああ、もう。本当にかわいいな。
「救急車くるの?」
「うん、交通事故だって」
PHSをポケットにしまって楓を抱きしめると腕の中の楓がジタバタと暴れる。