天使の梯子
手袋をはめながら暎仁は、患者の頭側に立った。
「ルートとって、ラクテック全開で落として。ルートとれたらすぐアドレナリン入れて。挿管する、喉頭鏡ちょうだい」
喉頭鏡を患者の口に入れ開き、介助についている看護師から挿管チューブを受け取ると一瞬で挿管を終える。
挿管とは、気管内挿管の略で自分で呼吸のできない患者の気管内に管をいれ、気道の確保を行うことである。
暎仁は、この手技が他の医師に比べ非常に早い。
「アンビュー、酸素流して」
そのチューブにアンビューバックと言われる酸素を送り込むための道具をつけてそれを押し潰すことで患者の肺に確実に酸素を送ることができる。