天使の梯子
優秀な彼のおかげで、助かった患者は大勢いる。
彼の腕をもってしても助けられなかった患者もいる。
そんな時は、暎仁も人並みに落ち込んだりもする。
四六時中、愛する楓のことを考えているが、患者のことを考えていないわけではない。
暎仁は、モニターに映る患者のバイタルが落ち着いてきたのを見てホッと息を吐く。
「検査と病棟に連絡して。担当医決まったら俺に連絡するよう言っておいて」
彼は、救急救命医としての自分に誇りを持っている。
常に彼女のことを考えているが、一人でも多くの患者を救いたいと切に願っている。
優秀すぎる暎仁は、常人と頭の構造が違うのだ。
楓のことと患者のことは同じところでは考えていないのである。