天使の梯子
処置を終えた暎仁は手袋を外し、ゴミ箱に捨てる。
そんな暎仁の左手の薬指には、まだ真新しいプラチナの指輪がはまっている。
それを見てまわりの看護師達がため息をつく。
看護師達の間でひそかに『誰にもなびかないみんなの諏佐先生』と呼ばれていた暎仁は、数週間前に四六時中考えている最愛の彼女と結婚した。
暎仁にとっては、念願のである。
そんな看護師達の視線には目もくれず、一仕事終えた暎仁は医局の自分の席に戻り携帯を取り出す。
そしてフォルダから愛しい妻となった楓の隠し撮り写真を見て頬を緩める。
(かわいいなぁ、楓。早く会いたいな)
楓と離れていた四年間も暎仁は同じ行動をとっていたのだが、表情はまったく違う。