天使の梯子

見た目には分かりにくいが、楓と結婚してからの暎仁は浮かれきっている。


なんせ四年越し、いやもっと前から暎仁はその最愛の彼女と結婚すると決めていた。


それが色々とあり、彼の計画から遅れに遅れ、やっと結婚できたのである。


浮かれない方がおかしいと、彼は思っている。


「諏佐先輩、何見てんですかー。あ、もしかして奥さん?写真見せてくださいよ」


携帯をじっと見てる暎仁にまだ若い後輩医師がそう話しかけてくるが、暎仁は画面を隠した。


「嫌だ。俺の奥さんかわいいから。絶対見せない」


そう言う暎仁に後輩は意外そうな顔を見せる。


「……諏佐先輩、案外、心狭いんすね」


正直な後輩医師をジロリと睨みつけたあと、暎仁はふっと笑った。


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