天使の梯子
再会の夜に
「瑛仁から楓ちゃんが患者さんに着いてきたって聞いて。大変だったね」
その声に一度顔を上げて、再び視線を床に向ける。
「あ、いえ」
立ち上がってその人から距離をとろうとする私に、その人は近づいてくる。自分でも、顔が引きつっているのがわかった。
「楓ちゃん、四年前のことなんだけどさ……」
その言葉にビクッとして、情けないことに震えてしまう。
足にうまく力が入らなくて、床に座りこんでしまった私を見てその人は眉を下げた。
「そんなに怯えないでよ。なにもしないからさ」
そのままその人が私に手を伸ばしてくるけど、私はその手を振り払って床に座り込んだまま後ろに下がる。