天使の梯子
冷たい感触が、服を通して伝わってくる。その冷たさに肌が粟立った。
「諏佐さ……」
射るような、強い眼差しに息が止まった。
怯えながら見上げる私を見て、諏佐さんは頬を指でなでて目を細めて笑った。
私を見るとき、諏佐さんはよくこの瞳をしてた。
獲物を見つけた、獣みたいな瞳だ。その瞳が、今は飢えているように見えた。
諏佐さんにこの瞳で見つめられると、私はいつも身動きができなくなってしまう。
四年も経つのに、全然変わっていない自分に嫌気がさす。
「さっきから気に入らないんだけど……なんなの。その諏佐さんて呼ぶの」
諏佐さんの眉間にシワが寄る。
元々男らしいキリッとした顔で目力も強いせいか、そういう顔をするとすごく迫力がある。
目を逸らそうとする私の顎を掴ん、で強引に視線を合わせられる。
「前みたいに瑛仁くんて、名前で呼んでくれないんだ」
その言葉に、胸がズキリと痛んだ。