天使の梯子
ああ、四年経っても私はなにも変わっていない。
あの時、強くなるって決めたのに。私の時間は、あのときから動いていない。
「楓……」
そんな愛しそうに、私の名前を呼ばないで。
私にもうその資格はないの。だって私は、あなたを裏切ったのだから。
私はあなたを、信じられなかったのだから。
ポタリと私の身体に水滴が落ちる。
ぼうっとした意識の中で諏佐さんを見上げるけど、それが汗なのか、涙なのかもわからなかった。
「楓、愛してる」
そんな言葉もらう資格、私にはもうない。
ああ、目が覚めたらこれは全部夢だったって、そうなったらどんなにいいだろう。
そうしたら愛する人に愛されるいい夢だったって、笑えるのに……。