天使の梯子
突然の来訪者
ふと目を覚まし、まず目に入ったのは天井だった。
見慣れないけど、なんだか懐かしい気もするその景色をしばらくぼーっと見つめてから、私はハッとした。
身体を起こそうとしたけどそれはできなかった。
長い腕が私の身体に巻き付いている。私がそれを外そうとすると、腕の力がぎゅっと強くなった。
振り返ってまだ眠っている諏佐さんの顔を見て、ため息をつく。
やっぱり夢じゃなかった。そんな都合がいい話、ある訳ないか。
寝てるうちに逃げられないかと起き上がろうとするけど、諏佐さんの腕が全然外れない。
もがく私の耳元で、低く笑う声が聞こえて私は振り返った。
「おはよう、楓」
優しく細められた目と、少し掠れたその声にドキッとしてそれをごまかすように目を逸らす。