天使の梯子
四年前の選択 ※注
あの日、四年前の私の二十四歳の誕生日。
本当はあの日、私は暎仁くんと過ごしているはずだった。
「でも、ドタキャンとかひどくない? 諏佐さん、彼女の誕生日だっていうのにさ」
だけど……結局、急患が入ってこれなくなった暎仁くんの代わりというわけではないけれど、友達が集まって一緒に飲んでくれて誕生日を祝ってくれた。
「うん、でもお仕事だから。仕方ないよ」
それは半分本音で、半分嘘だった。
寂しくないわけじゃない、不満がないわけじゃない。だけど、暎仁くんに私を重荷とは思ってほしくなかった。
仕事だから仕方がない。暎仁くんを必要としてる患者さんがいるんだから、そっちを優先するのは当然だと自分を無理矢理納得させいた。
私は暎仁くんにそういう不満とか、愚痴めいたことを言ったことは一度もなかった。