天使の梯子

「ルートとれました。全開で落としますね」


「助かります!俺たちだとルートもとれないから」


点滴が落ちていくのを確認していると、若そうな救急救命士さんが微笑みかけてくれる。


「血圧もあがってきたし。呼吸も戻ったし、本当に看護師さんがいて、この人ラッキーでしたね」


たしかに救命士だけでこういった医療行為は許可されてない。でも、ルートさえとってしまえばこの人たちのほうが救命に関してはプロフェッショナルだ。



私は患者さんを見つめて、助かるといいな…と願っていた。


そうしている間に病院に着いて、患者さんがストレッチャーで運ばれていくのを見送ってから救急車から降りる。


「あ、搬送が終わったら送っていくので、待っててくださいね」


チカチカ赤く光っている救急車のライトに照らされながら、私は慌てて首を横に振る。


「え、いいですよ」


救急車に送ってもらうなんて、目立って仕方ないからとんでもない。




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