天使の梯子
怖くて怖くて仕方ない。だけど、いつまでもそうしているわけにはいかなくて、私は検査薬を持ってトイレに向かう。
ビニールの包装を破いて……初めて見るその棒状のスティックを見つめる。
何度も何度も深呼吸を繰り返してから、ようやく決意を固めて、私は説明書通りの手技で検査をした。
そして判定時間を待たずにくっきりと出た陽性のラインに心臓がぎゅっと痛くなって、涙がこぼれた。
いつか、大好きな人の子供を出産したいと思っていた。暎仁くんの子供を産めたらなって、夢見てた。
もし、授かれたならきっと飛び上がるくらい嬉しくて、幸せな気持ちになるだろうって……そう思っていた。
なのに、どうして今私は泣いているんだろう。どうしてこんな気持ちになっているんだろう。
私の所に来てくれたこの子には、なんの罪もないのに。
無意識に、私はぺたんこのお腹を撫でた。