天使の梯子
「いつもお疲れ様。ゆっくり、眠って」
そう言って、サラサラの髪を撫でる。
まだ不満そうに私を見上げていた暎仁くんが、目をつむる。
「髪、気持ちいい。絶対寝てやらないと思ってたけど……ダメだ」
目を閉じた暎仁くんは、一瞬で眠りに落ちた。
しばらく暎仁くんの髪を撫でながら顔を見ていた私は、身体をずらして暎仁くんの頭を枕にのせる。
「……暎仁くん、大好きだったよ。今まで、ありがとう」
よほど疲れていたんだろう、ピクリとも動かない暎仁くんにそう告げる。
「さよなら」
私は笑顔でそう言って、暎仁くんの部屋を出た。
外に出て、もう二度と来ることもないだろう暎仁くんの部屋を見上げる。