天使の梯子
「今回は、残念ですが……」
先生のその言葉を聞いても、今度は涙は出なかった。
その前の一週間で泣きつくしたからなのか、私は意外と冷静だった。
やっぱりダメだったんだと、納得できたからなのかもしれない。
「見えますか? 赤ちゃん、袋の中にいないでしょう。赤ちゃんてね、心臓が止まるとお母さんにとって不要なものになるからね、自分で溶けちゃうの。お母さんのためにね」
私のために?
それを聞いたら、やっぱり我慢できなくて涙があふれてきた。
不要なんかじゃなかったよ。あなたが、私の心の支えだった。
産まれてきてほしかった、産みたかった。
あなたに会いたかったよ、だからいなくならないで。
どんなに強くそう願っても、画面に映っているのは空っぽの袋だけだ。