天使の梯子
エンゲージリング
そういえば、諏佐さんに再会した土曜日も『天使の梯子』を見たなと、ふと思う。
私の長い告白を聞いた、諏佐さんは無言で、振り返ってその表情を確認しようとしてもそれも阻止されてしまう。
そうなるとやっぱり私の告白をどう思ったのかが不安になってきてしまって、ぎゅうっと身を縮める。
あのとき、強くなるって決めたのに。こんなんじゃダメだ。立ち上がろうとする私を、諏佐さんが腕に力を入れて邪魔をする。
「あ、の……諏佐さん」
そうなるともうどうしていいかわからなくて、戸惑いながら声をかけると諏佐さんの身体がビクリと震えた。
それからぎゅうっと私の身体を抱きしめてくる。
……うぅ、く、苦しい。
「ごめん、ごめん、楓」
ぎゅうぎゅう抱きしめられて、あまりにも苦しくてその顔を振り返ると、諏佐さんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。