天使の梯子

「カッコつけてないで、こういうのも全部見せてればよかったんだ。こういう俺を、楓は嫌いになる?」


その言葉に、私は首を横に振った。


そんなこと、ない。絶対にない。だって私、今……うれしいと思ってる。


そんなふうに想ってくれていたのを知って、すごくうれしい。そんな私を見て、諏佐さんは安心したように微笑む。


「そろそろちゃんと聞かせて。楓は、俺のこと嫌い?」


嫌いじゃない。嫌いになんて、なれるわけがない。諏佐さん以外の人を好きになることなんて、絶対にない。


ふるふると首を横に振る私を見て、諏佐さんが目を細める。


「楓、ちゃんと口で言って」


じっと顔を覗き込まれて、私は顔が赤くなるのを感じた。諏佐さんに言われたこともないけど、私も言ったことがないかもしれない。


私も、諏佐さんと同じだ。言わなくても、伝わっているだろうと思っていた。伝えればよかったんだ、私から……大好きだと、伝えればよかった。