天使の梯子
「ここに、いたんだ……俺と楓の子供」
暎仁くんが、私の下腹部にキスする。それから眉を寄せて、そこをなでた。
「俺の、せいかもな。俺が、もっとしっかりしてれば……ごめん、ごめんな」
そんなことはない、という言葉は言えなかった。
泣きそうになるのをこらえるために、ぐっと歯を噛み締める。そんな私の顔を暎仁くんが覗きこんで、ふっと微笑んだ。
「戻ってくるな、きっと。そう遠くない未来に」
暎仁くんの妙に力強い言葉に、彩乃に言われたことを思い出した。
きっと戻ってくるよ。そんな気がするって言ってたっけ。
そんなことも思い出してちょっとだけ涙ぐむ私に、暎仁くんはとんでもないことを口にする。