キミは僕に好きとは言わない


えっ、呼び捨て?


昔から決してわたしを「なずな」とは呼ばなかった桃矢が、突然そう言った。


驚いて振り返ると、真剣な表情でわたしを見据える桃矢と目が合った。

さっきまで隠してたくせに………。


「な、なに……?」


恐る恐る声を出した。

相手はあの桃矢だし、様子を伺う必要がないのはわかってるけど………。

なんだか危険な雰囲気を感じた。


「ほんと……むかつく……」

「は?」


けれど、その雰囲気に気付くのが遅かった。


聞き慣れない言葉で動揺しているうちに、またグイッと腕を引かれていて。

次の瞬間………。


「んんっ……!?」


強引に唇を押し当てられた。


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