キミは僕に好きとは言わない


こ、こいつ…………!

女慣れしてます。とでも言いたそうな余裕っぷり。


こんなのキャラチェンジでもなんでもない。ただの嘘つきな二重人格だ。


わざとヘタレな振りをして、ずっと裏の顔を隠してたんだよ。

そう思うと、頭にかっと血が昇った。


「嫌い!」


もう、同情なんかしてあげない。

そんなに強いなら、わたしが守らなくたっていいじゃん。

ひとりだって、桃矢は大丈夫なんだ。


「俺は好き」


っ……。


ほら、そうやってまた笑う。


この男は、わたしが恋愛脳なのをわかって言ってるんだ。

初心者なら押しまくればいけるだろうとか。そんなことを考えてるに決まってる。


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