キミは僕に好きとは言わない


そんな卑怯な手に乗るもんか。

キッと桃矢を睨みつけて、遠慮なく言ってやった。


「桃矢なんか、絶対に好きにならないんだから!」


けれど桃矢は「そう?」と、余裕な笑みを見せる。

このっ……むかつく!


「先輩のとこに戻るから、桃矢はもう帰ってよね!」


それだけ吐き捨てるように言うと、捕まる前に全力で駆け出した。


「おい、なずな!」


背後から桃矢の声が聞こえてきたけど、それはもちろん聞こえない振り。


桃矢のバカ!最低!


人のファーストキスを勝手に奪って、勝手に告白して………。

いつものヘタレはどこに消えちゃったのさ。


桃矢なんか……桃矢なんか………。


大っ嫌い!!




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