キミは僕に好きとは言わない


何も言わないからきっと困らせてると思う。

でも、何を言ったらいいのかわかんないよ。


これ以上、上手い嘘をつけるとは思えないし、バレたら先輩を信用していないと言ってるみたい。


「…………」


黙り込んだわたしを見兼ねてか、先輩がゆっくりと口を開いた。


「フラワーガーデンで言いかけたこと……今、言ってもいいかな」

「えっ?」


フラワーガーデンで言いかけたこと?

先輩の言葉をそのまま脳内で呟いた。


突然話題が変わって驚いたけれど、少し考えてからハッとする。


ーーー『俺さ、桃矢くんにも聞いて欲しいから、今日2人を誘ったんだ』


以前聞いた先輩の言葉が、頭の中に蘇った。


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