キミは僕に好きとは言わない
「俺、なずなちゃんが好きだよ」
落ち着いた先輩の声色が、耳の奥で心地よく響く。
先輩らしい、まっすぐな告白だった。
「えっ、……えぇっ!?」
うそ……。
先輩が、わたしを好き……?
驚いて何度も瞬きを繰り返していたら、先輩がくすりと笑う。
「男なのに花が好きなんて女々しいだろ?でも、なずなちゃんはそんな俺を受け入れてくれたから、嬉しかったんだ」
「いえ、そんな……わたしは本当に素敵だと思ったから…」
「そう言ってくれる子、なかなかいないんだよ?中学の時にバカにされたことがあるから、他の人には内緒にしてるくらいだし」
え……。
知らなかった。先輩にそんな過去があったなんて。
だって、花を大切に思いやる先輩は誰よりも魅力的だったから。
わたしは、そんな先輩を好きだと思ったから。