キミは僕に好きとは言わない
「なずなちゃん。キス、してもいい? 」
「へっ!?」
頭の上から降ってきた言葉に、思わず肩を震わせた。
キ、キス!?
そんな急に言われても、まだ心の準備が……。
「嫌、かな?」
うっ……。
わたしの心をぎゅっと捕まえる、甘くて優しい先輩の声。
大好きな先輩に言われたんじゃ、すぐに受けきれちゃうよ。
「したいです。先輩と、キス……」
今にも消えてしまいそうなほど、細くて弱々しい声だった。
すると、先輩はわたしの体をゆっくりと離して、そっと頬に手を添えた。
恥ずかしくなって目を閉じる。
先輩の吐息が鼻の先に触れて、少しだけくすぐったい。