キミは僕に好きとは言わない
「なんで、俺じゃだめなんだよ……」
家に帰ると、すぐにベッドの上に飛び込んだ。
焦点が合わない瞳を揺らしながら、頬に手を当ててみる。
まだ、熱いな………。
先輩と別れてから数分。
どうやら、たった数分だけじゃドキドキは消えないらしい。
唇の感触もしっかりと残っている。
「わたし、先輩の彼女になったんだ……」
言葉にしてみても実感が湧かない。
だって、あの萩原先輩だよ?
競争率を考えるのも嫌になるほど人気者の先輩が、わたしを好きだと言ってくれたこの現実を受け止めきれない。
振り向いてほしくて頑張ってきたけど、本当にわたしなんかを好きになってくれるなんて、信じられないよ………。
そうして頭の中をふわふわさせていたら、ベッドの上に転がしていたスマホが音を鳴らした。
「あ、」
画面に映された萩原先輩の文字。
先輩からメッセージだ……!