キミは僕に好きとは言わない


「いっ、いいい、いつからそこに……!?」

「ついさっきです。なずなちゃんが帰ってくるのが見えたので、来ちゃいました」

「き、来ちゃいましたって………」

「いけませんか?」


きょとんっと、首を傾げられたけどそう意味じゃない。

しばらく会ってなかったのに急に部屋に来るから、びっくりしたんだよ。


「なずなちゃん、先輩の彼女になったんですか?」

「えっ……」


聞きたいことを聞く前に、彼は追い討ちをかけるようなことを言ってくる。

にっこりとと不敵な笑みを浮かべられて、微かに体が震えた。


「そ、そーだよ。悪い?」


負けじと返事をしたが、我ながらなんて可愛くない言い方なんだろう。


メッセージを読まれた時点で気づかれたのは知っていたけど、改めて直接言われると怖くなる。


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