キミは僕に好きとは言わない

「俺は好きだよ」



放課後の合コンを楽しみにしていたら午後の授業スピードがいつもより早く感じて、

あっという間に放課後になっていた。


「んーっ、やっと放課後だ!ねぇ蘭、早く行こうよ」

「そんな焦らなくたって男共は逃げたりしないから」


ホームルームが終わるや否や一目散に蘭の席に走った。


授業中も王子様の顔が頭から離れなくて、終始にやにやしていたのは説明するまでもない。


「せっかくの合コンなんだし、なずなもメイクくらいして行けば?あたしがやったげる」

「ほんと!?」

「ほんとほんと。さすがにノーメイクで合コンはナイでしょ」


わたしは普段から全くと言っていいほどメイクをしたことがない。

唯一持っている化粧品といえば色付きリップとビューラーくらいで、今時の女子高生としてはありえないほど色気が欠けている。


メイクして可愛くなった自分を見せる相手もいなかったから今まで困りはしなかったけど……。


「さすが蘭!我が友よ」


今日は王子様に会える特別な日。

可愛くなれる術があるならなんだってやるべきだよね!


< 14 / 289 >

この作品をシェア

pagetop