キミは僕に好きとは言わない
「なずなちゃんは僕の側から離れてしまうでしょう?」
「おはよう、なずなちゃん」
夏休み明けの月曜日。校門をくぐったところで、後ろから声を掛けられた。
「れ、蓮先輩!おはようございます……!」
振り向いた先に立っていたのは、大好きな萩原先輩………ううん、蓮先輩。
下の名前で呼んでほしいとメッセージがきたときは驚いたけど、彼女感が増してすごく嬉しい。
ふふっ、なんだか照れくさいな。
「前に約束したデートの話だけどさ、今週の日曜はどうかな?」
「デ、デート………!?」
ふわふわと夢心地な気分が抜けないわたしに向かって、先輩がさらりと爆弾を投下した。
びっくりして裏返った声が今になって恥ずかしい。
まだ顔を合わせて数分しか経ってないのに、先輩ったら話が早い!
朝からデートの話なんかされちゃうと、嬉しさと恥ずかしさが絡まって、爆発しちゃいそう。