キミは僕に好きとは言わない
「じゃあ先にトイレ行こうよ。ついでに髪の毛も可愛くしてあげるからさ」
「わたし髪の毛巻いてみた────」
「おい、戸松。どこへ行く気だ」
「えっ?」
ご機嫌気分で教室を出ようとしていたのに、突然担任の内田先生にガッシリと肩を掴まれていた。
「なっ、なんですか?」
振り向いたはいいけど、心当たりが無さすぎて変にドキドキしてくる。
なんなのこの異様な雰囲気はっ!
わたしなにかしたっけ?
「今日は杉浦と図書室の片付けがあるだろ?遊びに行くのは勝手だが終わってからにしなさい」
「はぁ!?」
図書室の片付け……?
そんなの初耳なんですけど!
「なんですかそれ!?」
「杉浦が1人は嫌だ、戸松と一緒がいいとうるさくてな。俺は職員室に寄ってから行くからよろしく頼むよ」
「えっ、ちょ………」
ポンッと軽快に肩を叩いた後は、わたしの言葉なんか聞く耳持たずで、さっさと廊下へ出て行ってしまった。