キミは僕に好きとは言わない


しかし先輩は、御構い無しにさらに追い打ちをかけてきた。

不安げにわたしの顔を覗き込みながら「もしかして、先約はいってた……?」と、眉を下げる。


「はう……!」


その仕草に胸を打たれたのは言うまでもない。

蓮先輩、かっこいいのに可愛いなんて反則です……。


「いえ、ぜひ行きたいです!」


いつものように元気よく返事をすれば「よかった。楽しみだね」と、先輩もいつもの笑顔を見せてくれた。


「はい!」


きゅんっとハートを打ち抜かれて、周りの目なんか気にならないくらい、わたしは先輩に夢中だった。


だって、彼女になったばかりなんだもん。

しかも相手が蓮先輩となれば、夢中にならないはずかない。


わたし、こんなに幸せでいいのかな……。


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